「口頭試問、それは仮の名を纏った拷問である」
大学院生が年末、恐ろしいくらいピリピリし出すのは、
そう、修士論文があるからです。
ある者は睡眠時間を削り、ある者は人自己嫌悪と不安に苛まされ、
またある者は急に開き直り現実逃避、そしてまたあるものは忽然と姿を消す。
気持ちはわかる。本当に。
僕もそうだった。
そんな修士論文には落とし穴がある。
それが口頭試問だ。
修士論文における口頭試問とは
口頭試問とはなんぞや、と。
おそらく、この記事を読む方は大学院に在学中が多いだろうから
知らないとは言わせない。(目を背けることは許される)
簡単にいう。
修士論文における口頭試問とは、
自分が書いた修士論文に関する面接試験であり、
あれこれ質問され、必死に書いた文章を否定され、もしくはなかったことにされ
「意味がわかりません。書き直して」
という無情な一言を頂戴する時間である。
院生控室で口頭試問を待つ僕の同志のあの表情は忘れられない。
そして帰ってきた時に発した
「あはははは。ボロボロだったよ」
という涙声は今でも脳裏にこびりついている。
とまぁ、脅しはここまでにして、
そろそろ具体的に口頭試問について説明する。
口頭試問はいつやるか。一般的な口頭試問の日程
修士論文の締め切りは基本的に12月、もしくは1月に設定されていることが多い。
ここまでは学部と同じ。
ただ、修士論文がこれほどまでにきついのは、とにかく出せばおしまいというわけではないからだ。
この締め切りは1次締め切りと呼ばれ、最終ではない。
学部生が書くいわゆる卒論は、出したら終わりが一般的だけれど、
修論(もちろん博論も)はそうではない。
12月、1月に提出する(1次締め切り)
→1月に口頭試問が入る。
→やり直し・訂正が入る
→ひたすら書き直す、再調査をするなどなど。
→2月再提出
→3月大学への最終提出→修了認定
という流れなのだ。
(僕の大学の場合。大学によりけりだから確認してください。)
当たり前だけど、修士論文を書くのは非常に難しい。
なんとか締め切りに間に合わせるだけでも至難の技。
当然詰めの甘い部分も残る。
それでもとりあえず出しちゃえ!
→口頭試問でフルボッコ。
これが約8割の大学院生の通る道だ。
そもそも口頭試問って何やるのか。
という話もしよう。
口頭試問の内容
(あくまで僕の大学での話なので、詳しくは指導教官に確認してください)
口頭試問は基本的に
学生が一人、面接官が3〜5人で行われるのが一般的である。
学生は事前に修士論文を試験を担当する教授へ提出しておく。
そして教授はそれを読んでからツッコミを考えて、
面接時に伝えるというのが一般的な形式となる。
したがって学生は面接官の数だけ修士論文を刷って冊子にし、
各研究室を巡り、ご挨拶をして提出するという非常にめんどくさいことをしなければならない。
とはいえ、基本的には所属しているコースの先生方が面接を担当することが一般的であり、
(時折、誰・・?この先生・・?という人もいる)
誰が担当するかどうかは事前に学生に通告される。
時間も大体30分前後で、
学生から概要(要旨)の説明をして、
その後、各先生から質問やコメントを頂戴し、その場でやりとりするというのが基本的な流れ。
質問される内容は、
例えばなぜ、この事例(ケース)を選んだのですか?
この研究の独自性、先行研究との違いはどこですか?
得られた知見は何に生かされますか?
という根本を揺るがすものもあれば
この書き方だと矛盾してますよね?
この文章はどこから引用していますか?
この論拠は弱くないですか?
という技術的なところまで聞かれる。
ちなみに、僕の一個上の先輩が口頭試問で、
これ、研究のテーマ変えた方がいいですよ。
と2年間の全てを無に返された人がいた。
泣いていた。
もちろん、
・この研究のこの点をもう少し深めたら良い研究ですね。
・こんな感じのデータがあればもっと面白くなりますね。
・この仮説はOOも言っているので、一度参考にしてみてください
といったアドバイスももらえる。
こればっかりは運と口頭試問を行う試験官との仲の良さで決まる。
え、指導教官と仲良しだから大丈夫だって?
ははーーん。
口頭試問に指導教官は同席しない
少なくとも試験官にはなれない。
めちゃくちゃ優しくて楽な教授のゼミにいる人は
口頭試問に限っては地獄を見る。ぬるま湯から急に熱湯に突き落とされる。
指導教官は同席したとしても、基本的に口出しはできない。
(試験の公平性・癒着の回避のため)
逆に普段厳しいところにいる人は、
口頭試問時に、
「え、何この人たち、、優しい。。。」
と感じることが多い。
だから、できる限り穴の内容に書き上げるのを強く推奨する。
口頭試問が終わったら、修士論文を提出する
そんなこんなで口頭試問あとは、
ボコボコにされた自分の修論をひたすら直すという仕事が待っている、
しかも1ヶ月で。
簡単なミスや、技術的な部分ならいいけれど、
新たなデータが必要なときは地獄を見る。
兎にも角にも修正をする日々が続く。ただし、ゼミの忙しさは半減する。
というのも、指導教官は基本的にもう口出しできないので、
他の先生が指摘したことをしっかりと修正しなさい。というモードに入る。
OO先生が指摘したこの点ですが、
このように修正しました。
という報告が基本的なゼミの流れになる。
口頭試問の注意事項
口頭試問を受けるにあたって、注意しなければならない点がある。
頼むから各章の名前くらいは覚えといてくれ。
>この章について質問ですが、
>え、どこですか?えーっと。。。ページ数は。。
なんてやってたら一瞬で
「こいつ自分の修論に向き合ってないな」
と思われフルボッコにされる。
また、各章・各節に付箋をはって開きやすくするなどは基本中の基本だ。
あとは、喋りすぎてはいけない
質問されるくらいなら話してしまえ!
という防衛本能、
補足しようと思って口数が増える
という緊張感
わかる。わかるのだが、
それは墓穴を掘る。
補足したら補足した分だけ
文章になぜそれを書かない?
という至極真っ当なツッコミが飛んでくる。
補足をすればするほど、不十分だということを自ら証明していることになる。
また、それってこの説と矛盾してますよね?
というツッコミが飛んでくる可能性がある。
シンプルに回答し、余計なことは言わない。
YESorNOで答えられる質問はそれだけの回答で良い。
・・・長くなってしまったので、
口頭試問の注意事項・コツ・裏技などは
また別記事にまとめることにする。
修士論文の書き方についてはこちら。
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