青年海外協力の実際 「辞退」から「延長」をして見えてきた支援の裏側とは。JICAボランティアへのインタビュー 

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あるいは全力のことばたち。

今回お話をお聞かせいただいたのは、
僕のJICAボランティア時代の同期である、中野さんです。

 

ちなみに彼女は、通常2年の任期を4ヶ月延長した

ちょっと珍しいケース。

(2019年7月末、日本へ帰国)

 

*写真左。

(いうまでもないことだけど、右はボク)

 

 

 

以下、インタビュー。

 

 

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「興味が興味で終わってしまわないように」

 

 

キクチ)では、改めてですが、簡単に経歴をお願いします。


ーえーっと。。。

岡山県出身で、大学ではデンマーク語を勉強していました。

 

 

キ)・・・いや、ちょっとその段階でもうハテナなんですけど。。。

 

 

ーえ、そうですか?
外国語学科でデンマーク語を勉強していたんです。


で、大学三年生から留学とワーキングホリデーで

2年間ほどデンマークに行ってました。

 

それで大学を卒業したのが24歳の頃。

そこから3年弱くらい、一般企業で働いてました。

 

そして27歳の頃にJICAのボランティアになったんです。

 


キ)JICAに応募されたきっかけはなんだったんですか?

 


ー大学で、デンマーク語というマイナーな言語を勉強していたんですけど、

でもどこかでメジャーな言語に興味があったんです。

 

あと、
私は一人旅が好きでいろんなところに行っていたんですが、
そのときに出会ったスペイン人がすごく優しかったんですよ。


一人で旅している私を友達の輪に入れてくれたり。

 

そこで、ラテンの陽気さに興味を持つようになったんです。
ラテンってどんな国なんだろうって。

 

そういう興味からJICAに応募したんです。

 


キ)では「国際協力」への憧れ、
 というよりも、ラテンへの興味がきっかけだったんですね。

 

 

ーそう。
 でも初めて合格した時の派遣国は、

アフリカだったんです。

 

でもラテンに行かなくちゃ

この先ずっとラテンへの興味を捨てられないと思って、
そのアフリカの要請を断ったんです。

 


キ)辞退したんですか!?

 

 


ーそう。

それに、与えられた仕事も全然やりたいことではなくて、、、

アフリカで要請されたのは、

 

歌の先生だったんですよ。笑

 


キ)え!!笑

 


そもそも私、音痴なんですよ。笑
だからこれは絶対に違うと思って断ったんです。

 

でも辞退した罪悪感から半年間、横浜で歌のレッスン受けました笑

 

キ)意味がわからん。。。笑

 

 

ーで、そのあとにもう一度受けたんですよ。
職種を変えて。

 

キ)え、じゃあ二回受けたんですね!
てかよく合格を蹴ったあとに、もう一度受けましたね。
そしてよく受かりましたね笑


ーいや、言われましたよ。
 面接の時に、

 

どこの世界でもいいんだったら受かると思う。
でも中南米は本当に人気で、そこしか行きたくないんだったら、
かなり厳しい競争になる。同等レベルの競争相手がいたら多分受からない。
それでも本当に行きたいですか?

 

って。

 

 

キ)圧迫やん!笑

  それでどう答えたんですか?

 


ーもちろん「それでも行きたい」って答えたら

ありがたいことに、第一希望の国で合格しました。

 

キ)それがグアテマラ?

 

ーそう。グアテマラが第一希望でした。

 


キ)なぜグアテマラを希望したの?

 


ーシンプルにグアテマラのカラフル感にすごい惹かれたんです。
そういう文化に対する興味がすごく強くて。

だから、

 

「誰かのために何かをしよう」

 

というより、

 

「どんな人が住んでいて、どんな生活をしているのだろう」

 

を知ることの興味が強かったんです。

 

キ)なるほど。。。
じゃあ、動機は国際協力というより、純粋な興味だったんですね。

 

 

(グアテマラ人の同僚にプレゼントしてもらった民族衣装「ウィピル」)

 

 

 

「支援するということ」

 

 

キ)グアテマラではどのようなお仕事をされていたんですか?

 



私はグアテマラにあるNGO団体に所属していました。

そこで

 

「現地の人々の生活改善」

 

 

「女性支援」のプログラムに携わっていました。

 

JICAからの要請内容は「生活改善」だったのですが、


そのプロジェクトが一年半ほどで終わったので、


その後は、

女性の自立支援のプロジェクトに携わりました。

 

生活改善のプロジェクトは
私が赴任してきたときにはもう動いていて、


途中から参加という形でした。

 

このプロジェクトには、ヨーロッパからの
大きな金銭的なバックアップがあったので、


500世帯が参加するような大きなものでした。

 

ただ、
その支援の方法は、

 

モノを配ったり、設備をつくる

 

という形ですごくもやもやしました。

 

キ)例えばどういう形だったんですか?

 

ー1番驚いたのは、現地の家を訪問して、

 

「生活するのに何が足りないか?」

 

と聞いて

 

それを持っていなかったり、壊れていた場合、

それをプレゼントするという方法。

 

 

キ)おおぉ。。。

なかなかストレートな方法ですね。。

 

 

ーそう。

この方法だと、
現地の人々が、

 

「自分たちでどうにかしよう」と思うより、


もらうだけもらう「お客さん」となってしまうこともあり、

 

どちらかといえば悪影響につながるんじゃないかとも思いました。

 


実際にこの支援のあり方が原因で

村がもめて、

村からもう来ないでくれと言われることもあった。

 

「次来たらリンチするぞ」って言われたこともありました笑

 

 

キ)えぇ。。。笑

 

 

ーそういうのを見ていると、

 

「何しているんだろう」

「支援って一体なんだろう」

 

そう考えることが増えました。

 

与えられるだけではなくて、

自分たちで可能性を見出していく

 

この手助けをするのが、

支援のあり方なんじゃないかなって思うようになった。

 

それでちょうど、

生活改善のプロジェクトが終わりに差し掛かった頃、

 

新たなプロジェクト、

 

「女性の自立支援を目的としたプロジェクト」

 

が始まると聞き、携わることに決めたんです。

 

キ)ちょうどいいタイミングですね。

 

ーそう。

そしてこのプロジェクトは、

メルカドグローバルとの提携によって始まったもので、

 

女性が縫製を学び、
最終的にメルカドグローバルへ商品を提供できるようにする

ことを目的にしたプロジェクトでした。

 

注:(メルカドグローバルとは、

主にグアテマラの伝統的な織物を商品化し、それを販売する団体である。
現地の人々への雇用を生み出し、正当な値段での取引を行うなど、
現地の人への自立支援を推進している。

もし、
メルカドグローバルへ商品を提供できるようになったら、
女性たちは安定した収入を得ることにつながる)

 

メルカドグローバルのURL

 

 

ーそしてプロジェクトが始まってからは、

月に一回、

 

グアテマラにあるメルカドグローバルの支所に雇われた現地の人が


女性に縫製を教える勉強会を行うことになりました。

 

私たちは

女性の自立に関する情報交換や衛生等を教える

という形で関わっていました。

 

また、それだけではなく、

ローカルビジネス、

つまり、ピザやケーキの作り方を学び、

それを売る方法を一緒に考えたりもしました。

 

 

(職場の同僚に手巻き寿司を振る舞う)

 

 

 

「関わったからこそ見えるもの」

 

 

ーこのプロジェクトを始めたことをきっかけに
いろんなことが見えてきました。

 

例えば勉強会が1ヶ月に1回になったのは、

それ以上女性を拘束すると、

 

旦那さんからものすごい苦情が来たり、
それが原因で、夫婦喧嘩になったり、
外出をさせてくれなくなったりする。

そして交通費の負担もかなり大きい。

 

(注:グアテマラ、特に先住民族や貧しい地域には

未だ男尊女卑の考え方が根強く残っている

また、一般的に給料は低く、

例えば教師の給料は月2万を下回ることも珍しくない。)

 

 

ー女性の自立支援を進めようとすればするほど、

彼女たちの生活に関われば関わるほど、

グアテマラの文化や現実が見えてきました。

 

それを無理に変えようとすると

結局女性への負担を強いてしまうことにつながるジレンマも感じました。

 


それでも
合計で約40人の女性たちがこのプロジェクトへ参加してくれて、
グアテマラ女性の自立の必要性もすごく感じました。

 

それに、生活改善の時とは違って、
一人一人の女性と個人として付き合うことができたし、

それぞれのリアルな状況を知った上で支援できるのが嬉しかった。

 


だからこそ、

この女性たちともっと一緒に働きたいと強く思うようになったし、


このプロジェクトをしっかりと見届けたくて、

任期を延長することにしました。

 

 

キ)なるほど。任期延長にはそういう想いがあったんですね。

  最終的に現地の女性は仕事を得ることができたのですか?

 

ー実際のところ、まだ職につながるレベルではなくて、

最初の一歩を踏み出した、という段階です。

あとは同僚が仕事を引き継いでくれてくれればいいなぁという感じです。

 

(大好きなアティトラン湖と)

 

 

表現する勇気もつということ

 

 

キ)今までお話ありがとうございました。

 

では、最後に、JICAボランティアを目指す人や、

海外で働きたいと思ってる皆さんへ一言お願いします。

 

 

ーえっと。。。

グアテマラで大切だなって思ったことなんだけど、

 

嫌だなって思ったことはちゃんと言う。

 

よく溜め込んでしまったり、SNSで書くとかあるけれど、

でもそれは何も変わらなくて、

 

言い方さえ気をつけていれば、

お互いにスッキリできて進むことができることができる。

 

もちろん

海外で暮らすと嫌なことってたくさんある

 

 

でもそういう時に

 

 

表現する勇気を持って欲しい。

 

悔しい、嫌だ。わかってくれない

 

と思って溜め込むよりも、

 

言い方さえ気をつけてればわかってくれる人もいるし、

 

 

言わないと伝わらない世界があるなぁ

 

 

って思った。

 

 

(グアテマラのとある道ばたで。)

 

この2年間、

本当に色々あった2年間だったけど、

すごくよかった。

 

 

もちろん嫌なことも

たくさんあったけど、

 

グアテマラに来れてよかったと思ってます。

 

本当にグアテマラが好き。

 

 

 

 

キ)ありがとうございます。

ちなみに今後の進路は。。。。?

 

ー今の所まだ曖昧だけれど、

日本の企業で働くというよりも、

 

NGOなどの団体に入って

難民系や、女性のエンパワーメントの仕事に携わっていきたいと考えてます。

 

でもとりあえずは、

日本に帰って香川の讃岐うどん食べたい。笑

 

 

 

キ)笑

  ありがとうございました。

 

 

 

追記:

ちなみに彼女は現在日本に帰国され、

香川まで行ってうどんを食べたそう。

 

うらやましい。

 

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