山好きの皆様、どうか僕らを叱らないで下さい。
このシリーズは山を軽視しているわけではなく、
ふざけたノリで山に行くと地獄を見るぞ。という反面教師的な側面を担っています。
これを読んでふざけた人がいなくなることを心より願っております。
という趣旨で一つよろしくお願いします。
もう一度言います。
山好きの皆様、どうか僕らを叱らないで下さい。
教訓1 時にノリは身を滅ぼすことがある。
事の発端はこうだった。
コスタリカを抜けて、久しぶりにパナマのボケテについた僕は、
ボケテにいる友人K君と美味しくコーヒーを飲んでいた。
夕方16時過ぎ、
陽も傾き始め、心地よい爽やかな風を肌で感じながら
僕らは何をするわけでもなくぼーっとゲストハウスのベンチに座っていた。
Kくん。
(ボケテはコーヒーの街で知られている。詳しくはここを参照)
そんな時、
こんな一言がこの世に生を受けた。
「なぁ、山のぼりたくね?」
どっちが言い出したかはもう今となっては定かではないが、
その一言が僕らを地獄に突き落とす一言だったことは定かである。
パナマのボケテにはパナマ1高い山、
ボルカンバル(バル火山)がある。
ただ、その時の僕らは標高や難易度など知る由もなく、
お!いいね!いいね!登っちゃう?
夜から登って朝日見に行こうぜ!!
というラウンドワンでオールする大学生くらいのノリで登山を決めた。
もちろん道具なんてなく、登山を決めた瞬間のフル装備がこちら
防寒具?なにそれ?
まぁ、どうにかなるっしょ!とか言ってたら
そばにいた旅人が
本気で心配してくれて僕にダウンを貸してくれた。
Mサイズだったので、かなりぴっちりしている。
結果としてこのダウンは僕の命を救ったのだけど。
貸してくれた人には感謝してもしきれない。
教訓2 山は装備と準備で全てが決まる
登山を決心して、街へ行き、登山口へのバスを手配していると、
「マジでライトだけは買っておけ。」
というガチなアドバイスを受けた。
えー。携帯のライトで十分でしょー
って言ったらちょっと怒られた。
仕方なく隣のコンビニみたいなところで、
500円のヘッドライトを購入した。
結果としてこのヘッドライトも僕らの命を救うことになる。
この人には二度と頭が上がらない。
(ヘッドライトだけに(?))
そして時刻は23時
登山口へのバスへ乗り込む。
出発時になってもこの調子の乗り様。
僕らはまだ、自分が登る山が富士山レベルということを知らない。
なんなら僕、半ズボンで登ろうしていた。
そしたら
宿の人に全力で止められた。
えー歩きづらいよーと思いながらも
しぶしぶ、普段着のジーパンで行くことに。
結果としてこの選択が僕の命を今日へとつなぐことになる。
この人にはもう足を向けてねれない。
(ジーパンだけに(?))
そんなこんなで
じゃ、ちょっくら山登ってくるわ!
というテンションで僕らは宿を後にした。
教訓3 現実はいつだって僕らに「現実」を教える
登山口へ向かう
バスに乗り込むとドイツ人が3人乗ってきた。
彼らも山へ行くらしい。
彼らの荷物を見て驚いた。
いわゆる登山ブランドの装備で身を固め、
手にはステッキ、頭にはニット帽、
そしてものすごい量の荷物をバックに詰めて
スタンばっていた。
普通ならここで色々と気づくのだが、
なぜか浮かれてた僕らはそんなことを気にも留めず、
きくち
「おい、見ろよK君!ステッキ持ってるぞ!ステキだねぇ!」
K君「あっはっはっは。ほんとっすねぇ!」
まだ、このころの僕には余裕があった。
うすうす見えてきた「現実」から目を背けるために、
僕らは無理に笑い合った。
おい、もしかしてこの山、、、ガチなんじゃないか・・・?
そんな言葉が僕の脳裏によぎる。
でも、気づかないふりをした。
K君の顔をちらりと見る。
彼も同じ気持ちだった。
教訓4 無知は時として死を招く
登山口に着くと普通に寒かった。
欧米人は着々とバックからいろいろなものを取り出し、
装備していく。
僕らは装備するものなど何もないため、
記念撮影して遊んでた。
きくち
「おいK!みろよ!
真っ暗で何にもみえないぞ!!でもなんか探検家みたいだなぁ!!」
K君「あっはっはっは。ほんとっすねぇ。」
「・・・あの、きくちさん。さっき調べたんですけど、
この山、富士山くらいらしいです。。。」
は・・・?
そうなん?
さて、
ここで状況を説明しよう。
僕らが登ろうとしていた山、ボルカンバルは、
パナマで一番高い山であり、標高は3400m超える。
もしこの山が日本にあれば、
日本で富士山に次ぐ、二つ目に高い山となる。
ちなみに富士山は3700mくらい
そんなことを知らない僕らは
5時間前に登山を決意し、
適当にスーパーでお菓子を買って
(もちろん定番の300円までだぞ!のくだりをしっかりして、
バナナは含めないということで2本買った。)
そんで、
宿に帰って
仮眠も取らずビリヤードしたり、マリオカードで遊んで、
登山の装備などないままに登山口まで来たのだった。
キクチの装備
・登山靴(旅の最中のため常にこれを着用している)
・ジーパン(ユニクロのストレッチジーパン)
・Tシャツ
・宿の人に借りたダウン(サイズは合ってない)
・ウインドをブレイクしないウインドブレーカー
(6年前から使っており、内側の生地がすでにボロボロとこぼれて来ている)
以上
ケイタ君
・履いたことない登山靴
(友人からもらったらしい。ちなみにサイズは靴下を二枚はいて無理やり調整した)
・山でよく見るアンダーアーマーみたいな長いスパッツに半ズボン
・うっすいウインドブレーカー(コロンビアの)
・宿の人が貸してくれたうっすいウインドブレーカー
・バスタオル(なぜ持って来たかは知らん)
以上。
持って来た食料(一人当たり)
・水2L
・バナナ2本(お菓子に含まれない)
・パスタの軽食
・エムアンドエムのチョコの小袋(なんかケチって二人で一袋にした)
・スニッカーズみたいなバー 2本
・ケイタ君 ビール1本
・きくち コーラ1本(なぜかゼロカロリー)
これで富士山に挑む奴がいたら教えてくれ。
ぶっ飛ばして説教してやる。
教訓5 あいみょんはいい歌を歌う。
さて、二人分を足しても一人分に満たない
不十分な装備で僕らの登山は始まったのだった。
時刻は23時30分。
街灯など一つもなく漆黒の闇の中、
舗装されてない山道に一歩、足を踏み入れた。
登り始めて3分後、
余裕なふりをするのに必死な僕らは
あいみょんの「君はロックなんか聞かない」を携帯で流しながら二人で歌った。
ケイタ君「いやぁ、いいっすねぇあいみょん!」
きくち「それな!上がるねぇ!」
ケイタ君「これ、24時間テレビのテーマソングみたいな感じにしましょうよ!」
きくち「あ!それ熱い!!ゴールの時に流したいね!」
ケイタ君「じゃあゴールの20m手前で流しますね!楽しみですねぇーー!」
僕らは結局、この山であいみょんを聞くことは二度となかった。
つづく。
繰り返しますが、
山をナメていたことを心から反省しております。
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