僕は美容院が昔から苦手だった
なにが苦手かと聞かれたらそれはわからないのだけど、
とにかく苦手だった。
初めて美容院に行ったのは確か小学校高学年だったと思う。
いつもは母親に1000円札一枚渡されて駅前の1000円カットに行っていたのだけど
その日は偶然姉が美容院に行くとのことで、なぜかとても羨ましくて母に僕も行かせてくれるようにねだった。
まぁ、人生経験ということでいつもは一枚しか渡されない1000円札を4枚渡され
右も左もわからなぬまま姉に連れられ、美容院へと向かった。
天井の隅っこに付いている扇風機もなければ、タオルを首に巻きながら並ぶおっちゃんもいなかった。天井のライトが反射するような綺麗な床、そしてふんわりと香る良い匂い。
めちゃくちゃ怖かった。
きょどきょどしている僕を横目に姉は顔馴染みの美容師とどこかへ消え、僕はただただ、立ち尽くした。。。。
というような記憶があるからかどうかは別として、とにかく僕は美容院は苦手なのだ。
なんにせよとてつもなく緊張する。
そんな僕の心の叫びをどうか聞いてほしい。
1
希望の髪型なんてない。
席についてまず聞かれる
「今日はどんな感じにしましょうか?」
この言葉がもう世界の言葉の中で700番目くらいに嫌い。
どんな髪型がいいかどうかわからないのです。
お任せでって言えばいいじゃんと言われるけど
そんなこと言われた美容師の気持ちを考えるととてもじゃないけど言えない。
一番困るやん。
ということでなにか写真とか見せるけれど、え、お前これになりたいの?と思われそうでそれも怖い。
そんなこんなでいつも
「えーっと、、、どうなんすかねぇ。。ちょっとよく分かんないすけど、なんかちょっとこうスッキリする、みたいな。。。どうすかね?」
みたいなことをもごもごいう始末。これマジで毎回言ってる。
そしてめんどくさいやつきたなと思われるのが不安で仕方ない。
2
会話がしんどい
これはもう定番中の定番だけど会話が嫌。
楽しいじゃんとか言ってくる人はきっと美容院関係なく日々コミュニケーションに困ったことはないんでしょう。
最近、事前アンケート?みたいなので会話はしたくないとかにチェックをつけれるという画期的なサービスが生まれた。と思うじゃん。
あれにチェックつけれるハートの持ち主はそもそも会話に困らないと思うのね。
こいつチェックつけおったなと思われそうで嫌。
だって、美容師の立場からしたら話しかけないでくださいって言われてるようなもので、それってなんだか申し訳ないじゃないか。
ということで僕は逆にキモいくらいに質問してしまう。沈黙に耐えられないのだ。
ただ、めちゃくちゃ疲れるし、おでこが濡れるくらいに汗をかく。
そしてそれできっとこいつ汗かきすぎじゃん。おでこに髪がくっつわ
とか思われそうなのが不安で仕方ない。
3
シャンプーは気持ちいけど顔隠す布はちゃんとしてくれ。
シャンプー気持ちよいよね。
もうシャンプーだけ1時間やってほしい。
でもねどうしても気になるのは、最近どこもシャンプーするときに顔に布みたいなの置いて隠してくれるじゃん。あれはとってもうれしいのよ。安心するのよ。
でもさ、やけに小さくない?
若干見えるよね。隙間あるよね。中値半端に隠すくらいならガッツリ隠してくれ。
あれが気になって仕方ない。あとティッシュくらい薄い布はやめてくれて。鼻息でずれるんじゃないかと思って不安で仕方ない。
4
目が悪くて雑誌が読めない。
髪切ってる時は雑誌読めばいいじゃんという人もいるけど、
あのね、僕メガネなのよ。目が悪いのよ。
裸眼じゃ雑誌見えないのよ。読もうとするとめちゃくちゃ雑誌を顔の近くに近づけないといけないのよ。
その度に顔あげてくださいと言われうのが嫌でもう最初から諦めるのよ。
ただ、無言でいるのもきついから全く文字読めてないけど読んでるフリして雑誌を眺めているのよ。頃合い見てページ捲るのよ。
それに疲れて、最終的に雑誌を置いて、ぼやけた視界で鏡にうつる自分の姿をただみるのよ。
こいつ、虚な目で瞑想しているな。。。と思われるのが不安で仕方ない。
5
後頭部の仕上がりを鏡で確認する儀式あれなんなん?
終わった後に折りたたみの鏡みたいなので、後頭部見せられるじゃん。
どうっすか?みたいな感じで。
いやわからんし。
てか逆に聞きたい。
このタイミングでいい感じっすねー!っていう以外のコマンドあるの?
選択肢はもう
あ、すげー。いいっすねーと言うしかないでしょう。
ここでいや、ちょっと違うなぁ。。とか言える人いんの?あの確認いるの?
なんだかもうあの儀式の存在そのものが不安。
と言うことがあり、僕はもうとにかく美容院に行かないようにしている。
そんなこんなで気づいたら髪が鼻に届くくらいになっていた。
流石にこれはまずい。。。髪切りに行かなきゃと思ってからもう1ヶ月経っていた。
そこで色々考えてたどり着いたのはカットモデルという道。
これはもう画期的。
まず第一にこっちの希望を聞かれるというより、向こうがただただ勝手に切ってくれる。
そんで練習台という名目だからめちゃくちゃ気が楽。
向こうもお客さんじゃないから接客トークもなく、淡々と髪を切ってくれる。
それに料金はタダのケースが多いし、パーマかけてもタダでやってくれるところもある。
最高じゃないか。
ということで心の準備も終わったので、髪の毛切ってくる。
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